研究課題/領域番号 |
14J10654
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安井 佑太 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 宅配 / 店舗販売 / 寡占 / 独占 |
研究実績の概要 |
【宅配モデルに関する研究・報告・学術誌投稿】 前年度から取り組んでいる宅配の独占モデルに関してモデルの精緻化・論文の改訂を行ない継続的に学会発表と学術誌への投稿を行なってきた。6月の日本経済学会・8月の2nd Summer School of Econometric Societyでは“Revisit to Menu Pricing : Specialization to Shipping or Shopping” のタイトルで報告を行ない、多くの有益なコメントを頂いた。当該論文においては、独占企業がピザの宅配サービスで見られるような割安な店舗価格とエリア内一律の宅配価格を組み合わせることができるような状況においてもどちらか片方のみを使用した方が高い利益を得ることができ、また、このとき独占企業は宅配への特化を選択する誘因が強いため企業による配送の効率性が低く社会厚生を損なう場合にも宅配を選択しうる事を示した。 上述の学会等では、寡占モデルへの拡張可能性やモデル設定の妥当性に関してコメントを頂いた。これらの疑問点に答えるためにモデルの拡張を進め、複占の状況においても同様の結果が得られる事を示した。これを以前の結果を合わせて“Competition with Multi-services : Pickup or Delivery? ” として国際的な学術誌であるEconomics Lettersに投稿した。現在Revise & Resubmitの要請を受け、再投稿に向けた改訂作業を行なっている。この再投稿にあたって、これまでの結果を導く重要な仮定が決して特異なものではなく、非常に現実的な仮定をシンプルな形で捉えているものである事を説明している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は主に宅配サービスの有無とその価格設定に関して分析を行いその社会厚生に与える影響に関して分析を行ってきた。得られた結果は複数の学会報告を経てさらにモデルを改良し、国際的学術誌に投稿した結果、現在改訂要求を受けている。この結果は当初予想していた以上に一般的な形での証明を与えることができたといえる。その分、店舗立地等に関しては現在分析中である、全体としては「②おおむね順調に進展している。」との評価が妥当だと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、理論モデルによる分析を拡張し、店舗立地・宅配エリアに関する分析を行うことを考えている。また、本研究課題では実証分析も見据えているため、データを探す一方で構造推定に関する知識の習得も重要である。その際、partial identificationやnon-separable model, weakly separable modelなどの最新統計手法を現実のデータに当てはめることで新しい発見と国際的学術誌への投稿を目指したい。
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