前年度にEconomics Lettersに投稿しRevise & Resubmitの要請を受けて改訂作業を進めていた、寡占市場における宅配サービスに関する論文(“Competition with Multi-services: Pickup or Delivery? ”)は改訂のうえ、再投稿を行なった。残念ながら当該学術誌への掲載には至らなかったが、改訂に伴いこれまで得られた結果がさらに一般的な状況でも成り立つことを示すことができた。この結果を踏まえ、他の国際的学術誌に再度投稿する予定である。 また、私は今後の研究の展開として、電力市場における供給網の構築を予定しているが、それに先立って自由化が行われた下での電力卸売市場に関するモデル分析を実施した。電力卸売市場では各発電事業者があらかじめ供給計画(特定の価格が実現した際の自社の供給量)を提示し、その総和によって定義される総供給関数と総需要の交点によって実際の供給量・価格が決定する。この構造は、とくにGreen and Newbery (1992) 以降、電力市場の分析に使用されてきた。他方、電力市場においては一部発電設備を政府・公企業が保有するケースも見られる。私は東京大学の原口純一氏とともに、そのような政府機関と民間企業が競争する状況下(混合寡占市場)における上述の供給関数均衡をモデル化して理論的分析をおこなった。この結果は“Supply Function Equilibrium in Partially Privatized Market”として論文にまとめ、大阪大学、東京大学で開催されたワークショップにおいて報告を行なった。現在、これらの報告の際にいただいたコメントを基に論文を改訂しており、今後、国際的な学術誌への投稿を行なう予定である。
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