全方向ガンマ線イメージングのための検出器として、ロッド状のシンチレータを束ねたシンチレータスタック型検出器を開発している。Cs-137線源を用いた実験では、検出器中のガンマ線の相互作用位置とそのエネルギー付与量を測定し、コンプトンイメージングを行うことにより、全ての方向について線源方向を正しく推定することが出来ることが示された。 より優れた角度分解能を得るために、コンプトン散乱角別に逆投影を行うことによって得られる再構成図に現れる特徴の違いを用いて、S/N比を改善する重みづけ逆投影法を新たに開発した。本手法の導入によって、Cs-137線源の測定については、角度分解能を66°から22°まで改善することに成功した。また、Cs-137、Co-60、Na-22の3種の線源を同時に測定した実験では、Cs-137の662 keVのガンマ線とNa-22の511 keVのガンマ線のエネルギーが近いため、単純な逆投影ではNa-22の線源位置を特定することが出来なかったが、重みづけ逆投影を行うことにより、Na-22線源を設置した方向を特定することが出来た。 また、CdTe半導体を3次元上にアレイした検出器を用いて、医療用サイクロトロン施設での放射性物質分布測定を行った。得られた再構成画像では、主にサイクロトロン本体の窓や周辺のコンプレッサの位置に強い分布が得られ、これは、同時に測定した周囲の空間線量率分布とよく一致した。この時、イメージングに用いるイベントを付与エネルギーにより選択することにより、各種別に異なる分布が得られた。さらに、測定結果に重みづけ逆投影法を適用することにより、より明確なホットスポットの分布を得ることに成功した。
|