研究課題
私はDIOS等の次世代天文衛星への搭載が予定されている超伝導遷移端型X線マイクロカロリメータアレイ(以下、TESアレイ)の信号多重化読み出し回路の開発を行った。これは極低温で動作し、素子をアレイ化することで撮像性能を持たせることができるが、各素子を独立に読み出すと配線による熱流入を無視できなくなる。そのため複数素子の同時読み出しが撮像分光を実現する鍵となる。衛星搭載に向けたステップとして、64素子のTESアレイを使用しX線分光を行う走査透過型電子顕微鏡(STEM)にTESアレイを搭載したSTEM-TESシステムの読み出し回路の開発を行った。私は複数素子同時読み出しの方法として、TESと低温アンプであるSQUIDのバイアスラインを共通化する方法を提案し、我々のグループで開発したTES、SQUIDパラメータから、STEM-TESでの最適なバイアス共通化数や、共通化方法を検討した。その結果、直列に8素子の共通化の場合、配線本数が削減し、分光性能の劣化に繋がるクロストークも0.2%以下に抑えられることを示した。私は共同研究者と共にSTEM-TES用のSUQID chipと駆動回路を開発し、低温試験でクロストークによる性能劣化がシステムの要求を充分に満たすことを示した。以上の研究成果について、国際学会口頭発表し、主著者として投稿論文にまとめた。また、数百素子以上の多重化に向けて、TESアレイを交流駆動する周波数分割信号多重化(FDM)の開発も行った。我々のグループでは低発熱型FDM用SQUIDや低温フィルタ、低ノイズアンプやFDMに特化した読み出し回路を独自に開発した。私は主に低温回路の評価を行った。このFDM用回路を用いて4素子同時駆動を行い、信号の取得に成功した。以上の実験結果を共著者として投稿論文にまとめた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Journal of Low Temperature Physics
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1007/s10909-016-1562-4
10.1007/s10909-016-1564-2
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: - ページ: 1
10.1109/TASC.2016.2533584
Superconductive Electronics Conference (ISEC), 2015 15th International
巻: - ページ: 1 - 4
10.1109/ISEC.2015.7383451