研究課題/領域番号 |
14J11199
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
重松 恭平 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 光渦 / 励起子 / 縮退四光波混合 / 軌道角運動量 / 面発光レーザー / 窒化ガリウム / コヒーレント変換 / 光帰還 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は半導体デバイスを用いて光渦のらせん位相がもたらす軌道角運動量(OAM)を制御することである。近年、光OAMを活用した光情報通信の多次元化が期待されており、半導体デバイスを用いた光OAMの制御は、OAM分割多重通信における光源や情報処理デバイスにつながる。本研究では、1. 空間変調光帰還による面発光レーザーのOAM制御および2. GaN励起子系に対する光OAMのコヒーレント変換・制御を行う。本年度は、光注入による面発光レーザーのOAMモード利得変調特性の調査およびマルチOAMの同時コヒーレント変換を行った。 項目1では、光注入同期によりシングルOAMモードに利得を集中する実験を試みた。シングルOAMモード発振は応用上の観点から重要であるが、光帰還ではシングルOAMモード発振は実現できておらず、この原因の一つとして帰還光がマルチOAMモードであることによるモード結合の影響が考えられた。実験では、シングルモードファイバと位相板によってシングルOAMモードに整形したレーザー光を用意し、このシングルOAMモードの注入光に対する面発光レーザーの発振モードの評価を行った。その結果、面発光レーザーのシングルOAMモード発振を確認できた。 項目2では、複合光渦状態の光パルスを用いたコヒーレントOAM変換を行った。複合光渦はマルチOAMで特徴付けられる光渦であり、OAMと方位角の不確定性関係に基づき、光渦の方位角広がりを制限することで取得した。複合光渦パルスに対する励起子コヒーレント応答を観測した結果、コヒーレント応答は複合光渦パルス励起を反映したブロードなOAM分布を持つことを確認し、マルチOAMを同時コヒーレント変換可能であることを明らかにした。また、マルチOAMの同時コヒーレント変換は、励起複合光渦パルスの中心OAMやOAM分布の広さに依らず実現できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
項目1について、面発光レーザーのシングルOAMモード利得変調が実現できたため。さらに、光注入同期の結果から光帰還においてシングルOAMモード発振を実現する方針が立ったため。また、項目2について、励起子系に対するマルチOAMのコヒーレント変換特性を明らかにし、OAMフリー成分の異常検出について、そのメカニズムを定量的に示すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
項目1について、帰還光をシングルOAMモードに変調し、この帰還光に対する面発光レーザーのOAMモードについて調査する。また項目2について、申請者が明らかにしたマルチOAMのコヒーレント変換特性を基礎とし、励起子系のコヒーレントOAM制御を目指す。
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