研究課題/領域番号 |
14J11456
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岩田 哲郎 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 特別研究員(PD) (30771563)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 枯草菌 / BAC / BGM / ゲノムベクター / RecA / トランスジェニックマウス |
研究実績の概要 |
巨大DNA断片の遺伝子操作技術はゲノムの機能解析に不可欠な基盤技術であり、ゲノム解読が進むにつれてますますその重要性が増している。メガベース(Mb)スケールの遺伝子操作が可能な次世代の枯草菌ゲノムベクター(BGMベクター)システムの確立のため、誘導型組換え系を導入した新たなBGMベクターを構築した。本研究ではキシロース誘導カセットを用いて、RecA誘導型枯草菌株(inducible recA expression BGM vector: iREX)を構築した。キシロースによるRecA誘導条件の最適化をおこない、GFP遺伝子を含むプラスミドや114 kbのマウスゲノム断片を含むBACクローンのクローニングに成功した。またキシロース無添加(RecA発現抑制)時においては、iREX内における組換え反応はほぼ抑制されていた。以上の成果より、iREXは既存のBGMベクターシステムと比べてより安定にクローニングした外来DNA断片を保持できることを示し、従来のBGMベクターでは難しかったより複雑なトランスジーンの構築に有用であることを示した。 現在は、マウス水棲型嗅覚受容体遺伝子クラスターを対象として、逆位・連結操作を利用したメガトランスジェニック作製技術の確立を進めている。これまでに、1Mb程度のマウスゲノム再構築に必要な8つのBACクローンのうち6つのクローニングと252 kbのマウスゲノム領域の再構築を終え、そのトランスジェニックマウスの作製に成功している。さらにBGMベクターシステムの実用性・応用性を実証するために、BGMベクターでの遺伝子操作を活用して多数の欠失トランスジーンを構築し、そのトランスジェニックマウスの作出をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、特にRecA誘導型BGMベクターシステムの開発をおこなった。研究計画に沿って、キシロースによるRecA誘導型BGMベクター(iREX)の構築、遺伝子操作条件の確立、システムの評価をおこない、H26年度中にその成果を論文として投稿した。逆位・連結操作を利用したマウスゲノム再構築によるメガトランスジーンの構築においては当初の計画よりも遅れが見られるが、BGMベクターシステムを用いて多数のトランスジェニックマウス系統を作出し、その有用性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
メガトランスジーンの構築に必要なBACクローンのうち、未だBGMベクターへクローニングできていないクローンはいずれも200 kb以上とサイズが大きい。DNAが長大になるほど物理的なダメージ等の理由によりBGMベクターへのクローニングが難しくなるため、来年度は既存のBGMベクターへのクローニングと並行して、本研究で構築したiREXや自然形質転換法によらないクローニング法を検討する。クローニングを終えたBACクローンから、マウスゲノムの再構築をおこない、1Mb長のトランスジーンの構築とトランスジェニックマウスの作製を目指す。
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