研究実績の概要 |
ケプラー衛星に続き,中心星近傍惑星の高精度探査計画(K2ミッション,TESS)が計画されるなど,スーパーアースの発見数・質量半径測定例は今後飛躍的に増大することが期待される.スーパーアースの組成構造には,大まかに海王星のような氷成分主体の惑星(以下, 海王星型惑星)や岩石惑星が分厚い大気をまとったような惑星(以下,地球型惑星)の二種類が考えられる.しかし,これらの内部構造・組成・熱進化・形成プロセスには多くの未知な部分が残されていて,これまでは単純な仮定が用いられてきた.その中でも特に,組成が一様な層構造を取ると仮定した内部構造・熱進化のモデル(以下,分化後モデル)が単純化のため使われてきた.一方で惑星内部の組成の不均質性(以下,組成勾配モデル)が太陽系内の巨大惑星の内部構造や進化に大きな影響を与えうることかが指摘されている(Leconte & Chabrier 2012).組成勾配は対流を安定化させるため,熱輸送を鈍化させ熱進化を遅くすることが予想される.このことは系外惑星の質量半径関係にも重大な影響を及ぼすことが予想され,系外惑星においても組成勾配を考慮した熱進化を解くことが必要となるだろう.またより正確に熱進化を理論化することで,実際に観測される質量・半径・年齢関係と透過光分光による分子種同定に適用し,その惑星の過去の状態をより正確に予言を行うことが可能になる.これを用いてスーパーアースの形成理論モデルの検証につなげていきたいと考えている.
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