①ショウジョウバエにおけるin vivoパッツクランプ法を確立した. 本研究課題を遂行する上で必須の技術である,in vivoホールセルパッチクランプによる動き検知細胞からの電位記録法を確立した.従来報告されている方法よりも簡便で応用範囲の広い解剖・固定法を共同研究者である東京薬科大学の森本准教授・関助教とともに開発した.この方法は同じくショウジョウバエからのホールセル記録を目指す研究者らから注目されており,国内の複数の研究者に対して技術指導を行った. ②動き検知細胞の応答特性はノイズ頑強な動き知覚を説明できることを発見した. 確立した手法を用いて,ノイズに頑強な動きの知覚が動き検知細胞の応答性から説明できることを発見した.従来ショウジョウバエ研究では使われてこなかった通信理論の手法を適応することで,行動と神経活動を直接比較した. ③動き検知細胞におけるノイズ頑強な応答特性を説明する神経アルゴリズムを提案した. モデリング手法を用いて,動き検知細胞の応答性を定性的に説明する神経モデルを構築し,実験結果の説明を試みた.その過程で,視覚の空間特性や非線形な情報処理が重要なファクターになっていることを明らかにした.これらの要素は,動き情報処理において従来はあまり重用視されてこなかった要素である.
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