研究課題
現在までに、前海馬支脚の頭部方向細胞の膜電位動態の解明を目的に研究を進めてきた。同時に、脳梁膨大後部皮質にも焦点を当てて研究を進めてきた。その理由は、脳梁膨大後部皮質のニューロンの8%が頭部方向選択性を示すことや、脳梁膨大後部皮質は脳表からのアクセスが容易で、パッチクランプ記録の成功率が高いことである。また、記録手法もホールセル記録ではなく、セルアタッチ記録を主におこなってきた。セルアタッチ記録は、ホールセル記録に比べ、動物の週齢、脳領域をほとんど問わず、1本の電極で高確率で記録ができるというメリットがある。また、セルアタッチ記録であれば、同一の電極でリトライが可能である。覚醒マウスよりセルアタッチ記録をおこなった。覚醒マウスから安定した記録をとるための方法は先行研究に倣った。なお、回転台を用いた類似の先行研究から、馴化トレーニングが無くても、頭部方向細胞の頭部方向選択性は観察されることが知られている(Shinder and Taube, J Neurophysiol., 2011)。脳梁膨大後部皮質からセルアタッチ記録をおこない、まず無回転で1分間記録した。次に回転台を駆動し、記録を続けた。回転台を20往復させたところ、方向選択性を示す細胞から記録が取ることができた。今後は、馴化トレーニングなどをおこなったマウスを用いて、同様の傾向が観察されるか検討する予定である。馴化トレーニングをおこなうことで、より安定した記録がおこなえると考えられるためである。
3: やや遅れている
パッチクランプ記録の中でも、ホールセル記録を回転台上で行う予定であったが、回転によるわずかな振動によって、記録が終了してしまうことが多かった。そのため、検討に十分な例数を得ることができなかった。現在は、回転台の改良を試みている。パッチクランプ記録の手技については、記録の質や成功率ともに上昇している。
回転台を用いたパッチクランプ記録のスループットを上げるために、回転させた際の微細な振動を除く工夫をした上で記録を続ける予定である。記録がスムーズにおこなえる条件がそろえば、頭部方向選択性の細胞固有特性やシナプス入力特性の検討を進めていく予定。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)
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