研究課題/領域番号 |
14J11622
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
八子 英司 明治大学, 農学部, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 下垂体 / 発生 / 転写因子 / DNAのメチル化 |
研究実績の概要 |
本研究では、下垂体の発生・分化、細胞供給と機能維持機構の解明を目的に研究を行っている。1) 胎仔期下垂体に存在するS100β陽性細胞の解析、2) 転写因子Prop1、Prrx1、Prrx2のメチル化における転写制御機構の解析を実施しており、順に以下に記す。 1) Ca2+結合タンパク質であるS100βに陽性を示す細胞は、下垂体前葉に出生後に出現することが報告されており、幹細胞の候補の1つとして考えられている。我々は、出生以前の胎仔期下垂体 (前・中・後葉を含む)でS100βが、既に発現していることを報告している。さらに、胎仔期下垂体の周囲にもS100β陽性細胞が観察された。このようなことから、胎仔期下垂体前葉にS100β陽性細胞が存在するか解析を試みた。免疫染色の結果、S100β陽性細胞が、胎仔期下垂体前葉に観察された。これらの細胞は、下垂体の幹・前駆細胞やホルモン産生細胞ではなく、血管系の細胞や神経堤細胞の性質を有している細胞から構成されていることが明らかとなった。 2) Prop1、Prrx1、Prrx2の発現制御機構解析の一端を明らかにするために、DNAのメチル化状態の解析を実施した。Prop1のメチル化状態は、ラット胎仔期と生後の下垂体と陰性組織として肝臓を用いた。Prrx1とPrrx2の解析では、Prrx1とPrrx2陽性と陰性の株化細胞を用いた。これらの結果から、メチル化状態に差がある領域を特定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・胎仔期下垂体におけるS100β陽性細胞の解析の結果を取りまとめ、投稿中である。 ・Prop1、Prrx1、Prrx2遺伝子のメチル化状態の解析は、引き続き実施していく。 ・PROP1、PRRX1、PRRX2の標的遺伝子や相互作用因子の探索、胎仔期下垂体における遺伝子の発現変動の解析は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
・血管系の細胞の分化や血管新生過程におけるS100β、PRRX1、PRRX2の機能解析を実施していく。 ・Prop1、Prrx1、Prrx2遺伝子の発現制御機構をメチル化のみならず、DNAの立体構造に着目し、解析を行う。 ・胎仔期下垂体における発現遺伝子の変動の解析などを随時遂行していく。
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