研究課題
本研究の目的はレスリング,ボクシング,柔道選手などの体重階級制競技アスリートが行う短期間の急速減量・増量が身体組成とエネルギー代謝に与える影響を検討することである.本年度は体重階級制競技アスリートが行う減量と増量を念頭においた(1)測定方法の確立と(2)実際のアスリートの身体組成とエネルギー代謝の変動を測定した.(1)に関して,当初の計画に加えてアスリート,一般成人,過体重者の計47名を集め,短期間(7泊8日)の合宿環境下において規定されたエネルギー摂取量による食事と二重標識水によるエネルギー消費量の調査を行う減量実験を実施した.既に結果の出ている11名はエネルギー出納バランスから計算される推定の体脂肪減少量(2.4kg)と実際の身体組成の体脂肪の減少量(2.4 ± 0.9kg)が一致した.この結果から,減量を行う環境下においても正確なエネルギー消費量の測定が可能であることが判定出来る.(2)に関して,(1)と同様の手法を用いてエネルギー代謝と身体組成の測定を実際に急速減量・増量を行う全国レベルのアスリート10名に対して遂行した.身体組成の測定はDXA法,安定同位体希釈法,体密度法を駆使した4成分モデルでの詳細な組成変化を調査しており,国内では類を見ないほど正確な測定が実施出来ている.これらの新しい手法の確立とそれによって得られたデータは世界的にも貴重なものでありスポーツ栄養学研究分野において重要であると考えられる.
2: おおむね順調に進展している
順調に研究課題を遂行出来ている.本年度,研究フィールドであるスポーツの現場に足を多く運び,研究実施の向けた関係性を築くとともに測定評価法の問題点を検討し,実際に10名の急速減量・増量を行うアスリートを対象に身体組成とエネルギー代謝の検討した.これらの研究基盤の構築は研究課題達成に向けた糧となっている.
研究計画に従い順調に遂行されている.既にトップアスリートの通常時,減量時,増量時のデータを取得しており,現在解析段階にある.同時に二重標識水を用いたエネルギー代謝のデータも取得しており,アスリートの食事摂取基準づくりに向けた貴重なデータであると言えるが,本年度では取得した尿サンプルの分析までには至っていない.分析の準備や手技は十分にあるため,このまま研究課題を推進する次第である.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件)
Journal of Physiological Anthropology
巻: 33(1): 29 ページ: 1-6
10.1186/1880-6805-33-29