本研究の目的は、性別違和を覚える人々のジェンダー/セクシュアリティと、商業世界との関係性の変化を解明することである。国内トランスジェンダーの歴史のなかで、商業と性別移行は非常に強く結びついてきたにもかかわらず、その実態についての理解は限られたものだった。そこで、本研究を通じて、かれらの性が、現状、どのようなジェンダー規範のもとにどう商業化され取り扱われているのか、また、貧困や性感染症などについてどのような問題が起こっているのかを明らかにしようとした。2016年度の調査では、都内の女装者、セックスワーカーなどのキーパーソンたちへの聞き取り調査を実施した。歴史的にトランスジェンダーや異性装者の人たちがどのように商業世界と関わってきたか、また「性同一性障害」概念の登場後にその関係性にどのような変化があったかについて知見が得られた。また当該調査で得られた知見については、学術雑誌に論文の形でまとめた。
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