研究課題/領域番号 |
14J12004
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
都築 怜理 東京工業大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 高性能計算 / 大規模計算 / 並列計算 / 計算科学 / 粒子法計算 / GPUコンピューティング / 動的負荷分散 |
研究実績の概要 |
粉体計算の DEM や流体計算の SPH法等の近接相互作用に基づく大規模粒子シミュレーションをGPUスパコンを用いて高効率に実行する計算手法の開発を行った。スライス・グリッド法を用いた GPU 間の動的な負荷分散法をそれぞれに適用し、GPUスパコンTSUBAME 2.5を用いた1~20億粒子の粒子法計算に対するスケーリングを検証した。粉体や流体の実問題に対して本提案手法を適用し、これまで実現できなかった現実の粒子サイズを用いたDEMによる 3 次元バンカーショット計算を実施することができた。スライス・グリッド法による動的負荷分散をSPH法にも適用し、複雑形状を含む 7200 万粒子を用いた流体シミュレーションや,8740万粒子、2304個の木片を含む流体構造連成による大規模津波シミュレーションを達成した。サスペンション・フローと呼ばれる多数の浮遊する物体と流れとの相互作用を計算することができ,物体が集団的に流される速度などの津波被害予測への貢献が期待される。これらの内容は情報処理学会主催の「2015年ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム」において特に評価され、最優秀論文賞及びIEEE Computer Society Japan Chapter 優秀若手研究賞を受賞している。さらに、スライス・グリッド法による動的負荷分散の欠点および適用限界を実問題の強・弱スケーリングにより明らかにし、木構造に基づいた領域細分化に対してヒルベルトなどの空間充填曲線を用いた階層型の動的負荷分散のプロトタイプ実装を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画内容からさらに発展的段階である多数の移動物体を含む流体-構造連成問題の大規模GPU計算まで達成した。
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今後の研究の推進方策 |
応用的で現実に近い問題を扱うために数千台以上のGPUを用いた場合にも並列化効率が維持できるよう、動的負荷分散をこれまでのスライスグリッド法から空間充填曲線を用いる手法に変更し、複数GPUで実行できるよう計算コード開発を行う。概要で述べたとおりプロトタイプ実装まで完了しており、木構造生成の際のノード間通信を加えることで分散メモリ環境(複数GPU環境)で使えるようになるため、達成は近い。また各GPUでの相互作用計算についても高速化・最適化を行う。
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