研究課題/領域番号 |
14J12061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川本 哲也 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | パーソナリティ / コホート / 縦断研究 / 双生児 / 発達 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では,進化心理学の領域で用いられているArizona Life History Battery (Figueredo, 2007) の翻訳許可をFigueredo教授からいただいて,まずそのテストバッテリー中に含まれる短縮版の生活史戦略尺度であるMini-K尺度 (Figueredo et al., 2006) の翻訳・標準化を行った。この結果は論文として投稿し,現在印刷中となっている。次にこのMini-K尺度を用いて,K-Factorの得点が低い,または高い個体のパーソナリティが短期間でいかに変化,または一貫しているかを,半年ごとに計3回測定を行う短期縦断研究によって検討を行っている。これについては現在2時点目まで調査が終了しており,現在3時点目の調査の準備中である。 また、東京大学教育学部附属中等教育学校で蓄積されてきてアーカイブ化されているデータを用いて,パーソナリティや知能の得点に対するコホートの効果,およびその変化の軌跡そのものに対するコホートの効果を検討した。その結果も論文として投稿し,現在,パーソナリティについての論文はパブリッシュ済み,知能についての論文は印刷中となっている。 最後に,パーソナリティの変化と一貫性の個人差ということに対して,それらを規定する要因がどれほど遺伝的な要因に規定され,反対にどれほど環境要因に規定されるのかを検討した。青年期という比較的パーソナリティの変化が大きく観察される発達段階に焦点化し,その背景にある遺伝的要因と環境要因の相対的な寄与ということについて,双生児サンプルを用いた行動遺伝学的検討を試みた。その結果、青年期のパーソナリティの変化は比較的,遺伝的要因に規定されるところが大きいことが明らかにされた。こちらの結果は論文としてまとめ,Twin Research and Human Genetics誌に投稿し,現在査読中となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画していた研究内容については、ほぼそのすべてを消化することに成功した。その結果、査読付き論文4本、及び国内外の学会での発表を5回行うこととなった。尺度の翻訳に関しては、許可を得ているものすべてについて行うことができなかったが、これは予算の上限のためであり、次年度予算にて続きを継続して行う予定である。縦断研究については予定通り実施しており、あと次年度に一度調査を行うことで終了する見込みである。その他、論文化しようと考えていたものについては、すべて通せたわけでは無いものの、おおむね順調に論文をパブリッシュできた。 以上のことから、今年度はおおむね順調に研究が進んだと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず今年度予算の関係でやり残してしまった尺度の翻訳・標準化について継続して行うこととなる。また縦断研究については3時点目の測定を行い、分析をして論文化する予定である。またその他論文化する予定であったデータについても、迅速に論文をパブリッシュできるよう研究を進展させていく予定である。
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