研究課題/領域番号 |
14J12065
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
近藤 綾子 東京学芸大学, 連合学校教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / プロソディ / コミュニケーション / 発達 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders: 以下ASD)児におけるプロソディの問題に関して検討することである。プロソディを介した感情や意図の伝達はコミュニケーションにおいて重要な要素であり、ASD児者のプロソディの問題について理解と表出の両面から検討を行う必要がある。 しかしながらこれまでに定型発達についてさえ十分な検討がなされているとは言えない。そこで平成26年度においては、感情的プロソディ(感情が含まれたプロソディ)の理解および表現の定型的な発達について検討を行うことを目的として、定型発達児を対象とした感情的プロソディの表現、理解、模倣の課題を設定、施行した。その結果、音声での感情伝達は、理解と表現のどちらにおいても、感情価によって発達に差が見られた。また音声での感情理解は表現に先んじて発達し基本的な感情理解は5歳児において既に理解可能である一方、表現については個人差が大きく7歳児においても発展途上であることが示唆された。以上の研究によりASD児における感情的プロソディの理解と表現の問題を検討する上での基礎的データを得ることができた。 また本年度は上記の研究と並行して、ASD児の発話におけるプロソディの特徴を具体的に記述することを目的として、ASD児および定型発達児の音声の解析を行った。音声は既に収録しており、本年度中は音声の取り込みや書き起こし、各種ラベルの付与等の作業を実施した。この結果は現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定型発達児を対象とした感情的プロソディに関する実験の実施と並行して、ASD児の発話におけるプロソディの特徴についてのデータ解析が進展している。当初の研究計画からやや変更があったものの、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画において予定していたASD児を対象とした感情的プロソディの検討については、協力を得られる対象者が少ないことから、事例研究に変更して検討する予定である。また、収録した音声については、引き続きデータ解析を実施するとともに、聴覚印象評定実験による検討も併せて実施し、更なる検討を行う予定である。
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