研究課題/領域番号 |
14J12080
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
加藤 祐介 一橋大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
キーワード | 日本近現代史 / 近代天皇制 / 皇室制度 / 皇室財産 / 大正デモクラシー / 土地制度 |
研究実績の概要 |
本研究は、大正後期~昭和戦前期における皇室の経済的基礎の変容をめぐる政治過程に着目することによって、近代天皇制について構造的に分析しようとするものである。平成26年度においては、当初の計画に従い、主に以下の調査を行った。 1、公文書の調査。具体的には、宮内庁宮内公文書館が所蔵する宮内省の史料と、農林水産政策研究所図書館が所蔵する農商務省(農林省)の史料について、開示請求・閲覧・複写(デジタルカメラでの撮影を含む)を行った。特に宮内庁宮内公文書館での調査において、重要と考えられる、御料地の関係史料、皇室予算・決算の関係史料、宮内省内の会議の関係史料をいくつか発見した。 2、私文書の調査。具体的には、国立国会図書館憲政資料室が所蔵する「倉富勇三郎関係文書」、「関屋貞三郎関係文書」、「平沼騏一郎関係文書」、「牧野伸顕関係文書」、東京大学社会科学研究所が所蔵する「入江貫一関係文書」について、閲覧・複写を行った。 こうして収集した未公刊史料を、公刊史料である『倉富勇三郎日記』、『原敬日記』、『牧野伸顕日記』などとつきあわせることで、特に宮内省についての理解を深めた。また、そこで得られた知見をもとに、研究成果を一部公表した。具体的には、大正後期における御料地処分政策について、北海道上川郡神楽村(現北海道旭川市)に所在する御料農地の処分問題に即して分析した投稿論文を執筆した。また、第一次世界大戦後における皇室財政問題をめぐる政治過程について報告をまとめ、学会発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
公文書・私文書の調査については当初の計画通り進めることが出来た。特に宮内庁宮内公文書館での史料調査が進展したことにより、研究の基礎を固めるとともに、今後の課題設定に際して有益な知見を得ることが出来た。また、研究成果の公表についてもほぼ当初の計画通り進んでいる。一方、それらに注力した結果ではあるものの、計画していた千葉での調査を平成27年度に積み残す結果になってしまった。 以上を勘案し、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画に従って研究を進めていく。宮内庁宮内公文書館、国立国会図書館憲政資料室などでの調査を継続して行うとともに、国立公文書館、千葉県立図書館、成田市立図書館での調査を行い、大正後期~昭和戦前期における皇室の経済的基礎の変容をめぐる政治過程について、政府・宮内省の側と御料地所在地域の側の両面から検討を行っていく。 加えて、近現代における天皇制・皇室制度についての先行研究を渉猟し、日本近現代史全体の中における本研究の位置付けについて考察を深める。 また、投稿論文を執筆するとともに、二年間の研究計画の総括を行う。
|