セル生産方式は1990 年代半ば頃から,最終組立工程における生産方式の新たな潮流として,世間の注目を集めるようになった.その後10 年近くの年月が過ぎ,製品需要の変化や国際競争の激化,モジュール化,非正規雇用の比重の増大など,日本の製造業を取り巻く環境が大きく変化する中で,セル生産方式は多様な展開を見せている.近年来,セル生産方式は日本製造企業の国内回帰現象を引き起こし,また企業の国際競争力の向上をもたらす重要な要因の一つとして,産業界に高く評価されている. セル生産は人的要因と生産性が密接に関わる労働集約的な生産システムであるが,教育や作業に対するモチベーションの維持,作業者の適性など,非技術的要因に関する研究報告が少なく,特に人的要因に関する定量的または統計的な研究は非常に少なく,十分に研究されたとは限らない.そこで,本研究ではセル生産の生産性に対する人的要因の影響を明確にし,一般モデル化をする. 平成27年度は,前年度に提案した新しい人的要因の指標「スキルインデックス」をおよび,本インデックスを使用したセル生産システムにおける作業者配置・スケジューリング手法をさらに発展させ,変種変量生産への対応および欠勤や他作業へのヘルプなど急な作業者の変更,オーダ変更(オーダキャンセル,オーダ追加)が発生した場合でも,変更に対応しつつ訓練を維持する作業者の再配置,再スケジューリング手法を提案した.
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