研究課題/領域番号 |
14J40030
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
松波 麻耶 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター生産基盤研究領域, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | アクアポリン / イネ / 窒素吸収 / 窒素輸送担体 / 根 |
研究実績の概要 |
本研究ではイネの根系発育や生理機能が窒素吸収へ及ぼす影響や,土壌環境が根の生理機能に及ぼす影響を多角的に解析し、窒素吸収能の品種間差異に関与する根の生理形質を特定することを目的としている。平成26年度は、主にインド型の多収品種であるタカナリとジャポニカ型品種のコシヒカリの間にみられる根系発達や生理機能の違い、および土壌水分の制限がこれらイネ品種の窒素吸収に及ぼす影響についての検討を行った。その成果の概要は以下の通りである。 (1)最高分げつ期においてインド型多収品種タカナリはコシヒカリよりも優れた根系発達を示し、さらに土壌水分の制限処理に対する根系発達の維持程度が高い特徴が認められた。 (2)根で発現する主要なアクアポリンのmRNA発現レベルは複数の多くの分子種について増加し、発現制御には品種間差異が認められた。 (3)窒素輸送や代謝に関連する遺伝子のmRNA発現レベルはアクアポリンほど明確な品種間差が認められなかったものの、土壌水分に対する応答性に違いが認められた。 以上のことから、栄養成長期における土壌水分の制限に対し、イネは根系構造を形態的・生理的両面から可塑的に変化させ、水輸送の最適化を行っていること、またその戦略は品種間で異なることが示唆された。窒素吸収量は出穂期以降顕著な品種間差が認められたことから、栄養成長期におけるタカナリの根系発達のアドバンテージの関与と出穂期以降の生理・形態における有望な特性について現在解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
土壌環境に対する根の形態的、生理的応答について、土壌水分の多寡が根の可塑的発育やアクアポリン遺伝子および窒素代謝関連遺伝子の発現動態に及ぼす影響およびその品種間差異を明らかにした。解析手法についてもおおむね確立しており、平成26年に得られた知見や手法をベースとして、研究を進展させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
根圏窒素濃度処理に対する水稲根の形態的、生理的応答の解析を進めるとともに、土耕条件下で生育させた植物体サンプル、特に生育ステージ後期の根サンプルからのRNA抽出について従来法からの改良が必要であるため、今後効率的なRNA抽出法について検討を進める。また、土壌の窒素動態についても明らかにしていく必要であると思われるため、今後の栽培試験では土壌中の無機態窒素の定量解析なども行う予定である。 一方、平成27年度は出産・育児に関わる研究中断を予定していることから、圃場条件での栽培試験が行えないため、人工気象室を用いたポット栽培試験によりサンプルを得るなど対応する。
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