研究課題/領域番号 |
14J40055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高須 奈々 大阪大学, 歯学研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 概日リズム / 時間制限給餌 / 摂食タイミング / 予知行動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は摂食タイミングを制御する体内時計神経回路を同定し、全身の概日リズムを制御する体内時計中枢・視交叉上核との相互作用と内的脱同調のメカニズムを明らかにすることである。概日リズム制御の出力維持、または強化の基盤回路を明らかにすることで「生理的に規則正しい生活」を達成し社会不適応や生活習慣病の予防と積極的な治療への応用が期待される。 初年度はC57BL/6J Jms Slc野生型雄マウスを用い、一日の摂食タイミングを一定時間に制限する「時間制限給餌」行動測定実験系のスケジュール策定を行った。すなわち全6条件・20日間に及ぶ日内摂食タイミングコントロールプロトコールを確立し、行動リズムの表出を確認すると共に、今後の指標となる特徴的な行動表現型を定めた。H26年度に策定した基本実験スケジュールを用い、「in vivo MUA法によるリアルタイムモニタリング」による視床下部視交叉上核領域の神経活動リズムと輪回し行動リズムの同時測定に成功し、今後の行動リズム制御領域同定に向けて着実な進捗がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、摂食タイミング予知行動リズム測定系を整備し実験条件の最適化を済ませた。次年度に完了する研究計画遂行の基盤として十分な成果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
摂食タイミングを制御する体内時計神経回路の同定を達成すべく、初年度に策定した行動計測プロトコールに則って特定神経核領域の「in vivo MUA法によるリアルタイムモニタリング」を行う。H26年度の成果として、行動に表出する摂食タイミング予知行動の新規動態を特定した。すなわち、従来から知られている①1日4時間の時間制限摂食条件での予知行動の出現。②44時間絶食時、摂食時間前の予知行動の出現と行動の鎮静化、③翌日摂食時間前の再度予知行動の出現、以上の行動表現型に加え、④自由摂食に戻した際、文字通り“いつでも摂食可能”であるにも関わらず、本来の夜行性摂食は容易に回復せず、3日間ほどの移行期間が生じることを見出した。さらに、この移行期間中に自由摂食時の夜行性行動リズムに加え、⑤摂食タイミング予知行動に一致する行動成分が夜行性行動に移行的に再同調していく様子が観察された。これらの知見を基に視交叉上核に依存しない概日行動リズムペースメーカーを特定する。
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