研究課題/領域番号 |
14J40055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高須 奈々 大阪大学, 歯学研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 概日リズム / 視交叉上核 / 加齢変化 / 性周期 / 不妊 / 環境光サイクル / 摂食タイミング |
研究実績の概要 |
これまでに、加齢により概日時計中枢である視床下部・視交叉上核のMulti-unit neural activityリズムにおける昼夜差のメリハリが低下することを明らかにしている(Nakamura et al. 2011)。この結果は、ヒト個体における加齢変化とされる、夜間睡眠深度の低下・昼間覚醒度の低下や、シフトワークや時差ボケ環境における適応能の低下といった事象とよく対応する。一方で、実際に生理機能リズムを制御するうえでの加齢による視交叉上核リズム出力の低下による影響はいまだ明らかでなかった。 C57BL/6J Jms slc系マウスは良好な繁殖効率を示し、性成熟期(2~4か月齢)メスは100%(7 / 7匹)のマウスが2回のトライアル交配により妊娠が成立した。一方、8ヶ月~12ヶ月齢の中加齢期メスの妊娠成功率は71.4%(10 / 14匹)に低下したが生殖能力を維持していた。それに対し、中加齢期(8ヶ月~12ヶ月齢)Cry1 KOマウス, Cry2 KOマウスはそれぞれ10.0%(1 / 10匹)、12.5%(1 / 8匹) と妊娠成功率が著しく低下していた。この結果は、膣スメア採取による性周期の観察、および輪回し行動の連続測定による性周期の観察によって裏付けられる。すなわち中加齢期Cryノックアウトマウスは早期に性周期不整が生じていることを明らかにした。 上記結果を受けて、加齢に伴う性周期不整がCry欠損により直接生じる一次作用か、二次的に生じるかを検証した。光環境周期をそれぞれのノックアウトマウス固有の周期に調整して輪回し行動測定、膣スメアチェック、妊娠トライアルを行ったところ、性周期の安定化、妊娠成功率の回復を示した。以上より、Cry欠損による概日周期の変化が二次的に早期加齢様症状を生じることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概日リズムと生殖機能の直接的な因果関係を明らかにした。今回行った光環境サイクルによるリズム同調と共に、次年度は、摂食タイミングの概日リズム調整基盤を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果により、良好な妊娠成功率(生理機能)を達成する安定した性周期を維持するうえで、最適な概日リズムが有効に作用することが明らかになった。生理機能の動的恒常性を維持する上で、概日リズムの重要性が明らかとなり、より詳細なメカニズムの解明が必要である。さらに、日常生活に根付いた光環境、摂食タイミングといった環境因子の作用基盤を追求する。
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