研究課題/領域番号 |
14J40079
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
児玉 昌美 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 心室筋イオンチャネル / 性差 |
研究実績の概要 |
1、IKsチャネルについては、ヒトIKsチャネルを心臓特異的に発現するトランスジェニックマウスを用いて、IKsチャネルを構成するタンパク質の免疫共沈物を精製し、MS解析で同定したところ、心筋の興奮収縮連関に関わる因子が多く含まれており、IKsチャネルと興奮収縮連関が相互作用する可能性が示唆された。IKsチャネルと興奮収縮連関免疫の相互作用については、これまでに報告がなく、普遍的な概念になりうると考えている。 2、ICa,Lチャネルについては、当研究室ではこれまでに、雌マウスの心筋細胞で、交感神経系刺激によって増大したICa,L電流をプロゲステロンが非ゲノム経路を通じて抑制することを示してきた。ICa,L電流の増大は、プロテインキナーゼA(PKA)がICa,Lチャネルをリン酸化することに依存することから、本年度は、FRETを利用したPKAのバイオセンサーを用いて、雄マウスの心筋細胞でプロゲステロンの効果を検証し、プロゲステロンによるICa,L電流の抑制は雌特異的な現象であることを明らかにした。 3、雌雄胎児マウスの冠動脈径の解析から、冠動脈径に性差が生じる時期を明らかにしたが、この性差には冠動脈の収縮の差が大きく関与していることが示唆された。血管の収縮は、交感神経系刺激の制御を受けることから、この研究結果は、心室筋イオンチャネルの交感神経系刺激応答を解析する上でも重要な示唆に富んでおり、互いの研究を同時進行することによって相乗効果が見込めると考えている。これまでに、冠動脈径に性差が生じた時期およびその前後の心室を用いて、マイクロアレイを行い、結果をIPA(Ingenuity Pathway Analysis; Digital Biology)で解析すべく、解析技術を習得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IKsチャネルについて、IKsチャネルと興奮収縮連関が相互作用する可能性を示唆する研究結果を得たが、IKsチャネルと興奮収縮連関が相互作用による心筋活動電位再分極の制御機構そのものが新規であり、研究計画段階で目的としていたチャネル制御の性差よりさらに普遍的な概念に発展しうるものと考えている。 ICa,Lチャネルについては、これまでに雌マウスではプロゲステロンによってICa,L電流が抑制されることが示されていたが、雄マウスでは、プロゲステロンによるICa,L電流の抑制は起きず、性ホルモンによるICa,Lチャネルの制御に性差があることを明らかにしており、性ホルモンによるICa,Lチャネル制御の性差の分子機構解明の端緒にしたいと考えている。 また、網羅的解析のためには、マイクロアレイが有効だと考え、結果の解析技術として、IPAを習得した。同時進行中の雌雄胎児マウスの冠動脈径の解析から、冠動脈の交感神経系刺激による制御に性差が生じる発達段階が明らかになったことから、まずはこの時期および前後の心室を用いて、マイクロアレイを行い、性差機構に関わる因子群を探索したい。解析結果は、各心室筋イオンチャネルの研究にフィードバックし、各因子の関与を検証するつもりである。 以上の通り、これまでに一定の研究成果を得ており、また、研究計画に大きな問題も生じておらず、今後も研究の継続が見込めることから、「おおむねに順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
1、これまでに同定したIKsチャネルを構成するタンパク質の免疫共沈物について、発現パターンをreal-time PCRで解析したところ、マウスの発達変化に応じて発現が変化する因子も含まれていたため、これらの因子を中心にIKsチャネルと機能的に相互作用があるか、パッチクランプ法で解析することによって、IKsチャネルと興奮収縮連関の相互作用による心筋活動電位再分極の制御機構の解明を目指す。 2、プロゲステロンによるICa,L電流の抑制は雌特異的な現象であることが明らかになったため、今後は、この研究結果を端緒に、ICa,L電流の抑制に関わる因子群の発現・制御について、性差の有無をマイクロアレイまたはreal-time PCRによって検証し、ICa,Lチャネル制御の性差の分子機構を明らかにする。 3、マイクロアレイの結果をIPA(Ingenuity Pathway Analysis; Digital Biology)で解析すべく、解析技術を習得した。2のICa,Lチャネル制御の性差の研究に加えて、同時進行中雌雄胎児マウスの冠動脈径の解析結果からも、心室筋イオンチャネルの制御の発達変化あるいは性差を考える上で重要だと思われる発達段階に示唆が与えられたため、これらのサンプルを用いてマイクロアレイを行い、心血管シグナル調節機構に関わる因子を網羅的に探索したい。解析結果は、各研究にフィードバックし、その機能を検証したい。
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