平成27年度に、カタユウレイボヤのDNAメチル化修飾をゲノムワイドに調べた。3つの発生ステージを比較した。平成28年度は、このデータに関して種々の解析を行い、論文として発表した(Genomics 2016)。主な結果は、カタユウレイボヤのDNAメチル化修飾は発生過程を通じて常に安定であること、遺伝子の発現変化とは無関係であること、また脱メチル化に関与する5hmシトシン修飾は検出されなかったこと、である。 また、このデータから新たな発見が得られた。カタユウレイボヤ集団内にはDNAメチル化多型が存在する。DNAメチル化多型は、全ゲノム中約20アレルに見出された。これらのアレルのDNAメチル化状態は各個体によって異なる。また、DNAメチル化多型は環境ではなく、遺伝的に決定されていることが示唆された。今後は、DNAメチル化状態を決定する遺伝情報、ゲノム配列を同定する。
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