研究課題
本研究の目的は、マレー世界におけるスーフィズム的知の学習の事例に即して学習の理論を検討し、イスラームの「学び」の性質を説明する鍵概念と枠組みを見出すことである。具体的な目標は(1)マレー世界において人々がスーフィズムに関する知を習得している様々な場面、特に学校などとは異なる場に着目し、そこでの知の習得のあり方について民族誌的データを蓄積すること、(2)人類学、認知科学等における学習論とイスラームにおける知識・学習に関わる思想、および(1)の具体的学びの様相に関わるデータを総合し、既存の理論をイスラームの学びに適用する際の問題点と、それを克服する手段を見出すこと、の二つである。平成26年度は、①人類学、認知科学、教育学と、イスラーム諸学(特にスーフィズムに関わるもの)のそれぞれにおける、学習・知識に関する理論を整理すること、②それらの理論を用いてこれまでの調査で得た民族誌的データを分析することによって、イスラームの学びを説明する暫定的枠組みを見出すこと、の二つを目標として研究を行った。①については、4月から6月にかけて学習論に関する文献収集を行い、認知学習論を中心として「学ぶ」という概念の多様性を検討した。また、イスラームにおける学習の概念については、東南アジアで広く読まれている学習者の心得についての文献等を検討し、学習概念の整理をした。②については、7月から8月にかけてマレーシアでこれまでに調査を行った場を対象として、本研究計画において必要となる分析に適したデータを補足するための発展的調査を行った。特に注目した事例は、イエメンのハドラマウト等の地域からマレーシア・インドネシアに移民した人々が最近クアラルンプール等の都市部で行っている集会である。これらの集会への参与観察を通じ、人々がイスラームの「学び」の体験をどのように解釈しているのかを調査した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Asian Journal of Social Science 42-Special Edition, Muslim Religious Authority in Modern Asia
巻: 42 ページ: 602-619
DOI: 10.1163/15685314-04205007