研究概要 |
特別推進研究の4年目に当たる今年度は、研究の大きな進展が見られ、最終年度に向けて成果として結実することを期している。 今年度の主な成果は以下の通りである。 1.Atg8-PEの機能解明はオートファゴソーム形成の謎を解く上で重要な課題であるが、再構成系を用いた解析により、Atg8-PEがリボソーム同士の会合、それに続き膜のhemi-fusionを引き起こす。さらにこの活性に必須な残基の変異はオートファジーの活性が低下することから、in vivoでも重要な機能を反映していると考えられる。 2.Atg12-Atg5結合体がAtg3のE2活性を促進する上で、Atg3のN-末端領域が重要な役割を持つことが明らかとなった。 3.オートファジーに特異的に必要とされるAtg29,Atg31がAtg17と結合し、Atg1タンパク質に依存してPASに集合することが明らかとなった。増殖機に働くAtg11依存牲のAtg1キナーゼ活性を必要としないPASと明らかに性質が異なることが明らかとなった。 4.Atgタンパク質群の細胞内局在解析を進め、Atgタンパク質の集合体としてのPASの構築に関する新たな知見が得られた。 5.非発酵性の炭素源で培養した酵母では増殖条件下に液胞内に多数の構造体が取り込まれる。多数のAtgに依存する経路と、PI3Pに依存するが、Atgタンパク質を必要としないミクロオートファジーの存在が明らかとなった。 6.植物の種々のATGノックアウトの表現型解析が進み、ATG2では最も強い表現型を示すことから複数の経路の存在が示唆される。またATG6は酵母と同様にオートファジー欠損以外に膜輸送の欠損を持ち唯一雄性不稔となることが明らかとなった。 7.北大稲垣研との共同研究により、Atg3,mATG4B,mATG4B/LC3,Atg3,Atg5/Atg16N-末断片の3次元構造が決定された。
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