研究課題/領域番号 |
15011206
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加畑 博幸 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興)(常勤形態) (70293884)
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研究分担者 |
鷲津 正夫 東京大学, 工学系研究科, 教授 (10201162)
小寺 秀俊 京都大学, 工学研究科, 教授 (20252471)
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キーワード | ゲノムマニピュレーション / 遺伝子ターゲッティング / チップ解析技術 / 電気浸透流 / 酵母染色体 / DNAファイバー / マイクロ構造 / 細胞アレイ |
研究概要 |
既存の特許に抵触しない次世代遺伝子ターゲッティング装置を実現するため、チップ上で細胞を配列し、核内のすべての染色体を溶出し、凝縮した染色体DNAを伸長整列(ファイバー化)し、ファイバー化DNAを溶液中で把持し、DNAに対してプローブが立体障害を受けることなくアクセスできる基盤技術を開発した。 昨年度までに、ガラス上に電気浸透流(EOF)を発生させると染色体DNAがファイバー化されることを見出した。しかしEOFが乱流を含んでいたため再現性が低いという欠点があった。そこで本年度は、乱流を解決するための電極形状を考案し、さらに溶液溜めを電極近傍に設けたところ、分裂酵母由来の染色体DNAが従来技術の3倍以上に相当する800μmに達するまでファイバー化された。高い再現性を獲得したことから、ハイスループットのFISH解析への応用が期待される。 昨年度の2番目の問題点として、複数の細胞由来のファイバー化DNA同士が重なり合い、DNAの観察と同定が困難であった。そこでファイバー化DNAが重複しないように、伸長の起点である細胞を、一定間隔おきに一列に配置するためのフォトレジスト製「マイクロドック」を作製した。EOFにより酵母細胞各々を搬送してドック一つ一つに格納したところ、確かに独立かつ並列に伸長したファイバー化DNAが得られた。 昨年度の3番目の困難は、電圧印加を終了してEOFが停止すると、ファイバー化DNAが元の凝縮した染色体へと弾性変形することであった。これを解決するため、ファイバー化DNAを保持出来る「マイクロピラー」を基板上に設置した。EOFの向きを操作してファイバー化DNAをピラーの側面に押し当てたところ、DNAは吸着されてドックとピラーの間で懸架出来ることを証明した。現在、このような新しいファイバー化DNAがFISH解析に有効な試料であることを実証中である。
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