タンパク質立体構造関連特許に関する特許審査の事例研究が、日米欧三極の特許庁により2002年11月に発表されたが、これに基づく特許出願戦略、今後生じる問題、研究開発・産業に与える影響などについて、英文の論考を作成した。最新の出願動向を踏まえたタイムリーなものであり、国際的にも、このトピックについての最初の本格的な論考となった。 さらに、この課題については、現行制度の枠内での戦略を論じるのみならず、新規立法を含めた新しい制度の提案など、真に有効な施策を検討してゆかねばならないため、いくつかの選択肢を提示し、それぞれについて他の分野との法的整合性や経済効果などを多面的に検討した。国内外の試験研究機関や製薬会社、バイオベンチャー、特許事務所などからのヒアリング調査も行った。 上記のテーマに加えて、「情報融合発明に関する国際比較」という課題にも取り組んだ。 これは、物質だけではなく、何らかの「情報」が保護の対象となっている発明について、主要各国の状況を調査するというものである。 具体的には、特許出願・審判の状況、社会的オピニオンの状況、裁判における判断の状況について、事例を収集し、評価を行った。また、特許出願については、データベースによる検索を行い定量化して、近年の技術創出の状況を把握した。これらを踏まえて、特許請求の範囲ついての問題点を抽出し、産業政策上の課題をピックアップした。そして、それを解決するための手段を考察し、現実的な解決策として提言を行った。
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