研究概要 |
02年度末より新規のベクターにて、各遺伝子断片の逆向き反復配列を新たに構築し、microinjectionをおこなった。これまで、5500のIRベクターを完成し、うち4,500をハエに導入、6,700系統が樹立されている。本プロジェクトは網羅する遺伝子の数からして、トランスポゾン挿入変異体バンクを含めても変異体バンクとして世界最大級になった。 これら変異体を用いて全細胞、全発生ステージでRNAiを誘導したところ、1954遺伝子のうち64%で致死性/半致死性が観察された。ハエのコンパクトなゲノムには想定(30%)よりも多くのlethal geneが詰まっているのかもしれない。 成虫の翅、個眼、付属肢先端など特定の組織/部位にのみRNAiを誘導し、形態異常表現型をスクリーンしている。330から2,000の系統をランダムにスクリーンしたときの異常表現型の出現頻度は、それぞれ、7%、12%、24%であった。一方、protein kinaseの56変異体ではそれぞれ59%、52%、87%と異常表現型の出現頻度が上昇する。遺伝子のカテゴリーによって発生過程での使われ方が異なるのであろう。 現在、内外50の研究室と共同でこれらの変異体を使った遺伝子機能解析をおこなっている。先天性免疫、糖鎖関連遺伝子についてはその一部を論文発表した。また、RNAiの分子機構についての論文も発表した。 これら個別の遺伝子機能解析に加えて、特定の表現型を指標にバンク全体をスクリーンする共同研究を開始した。
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