研究課題
特定領域研究
本研究では、多細胞生物における遺伝子カスケードおよび遺伝子ネットワークのアウトラインを明らかにすることを目的とし、(1)RNAi法と(2)欠失変異体の作成、という二つの遺伝子機能破壊法を用いて線虫C.elegansの体系的な遺伝子機能解析を行った。(1)線虫の約6,000遺伝子についてRNAi-by-soaking法による表現型解析を行い、その約30%が発生過程に必要であることを示した。そのうち胚性致死表現型を示した833遺伝子について、二次解析として微分干渉顕微鏡による表現型解析を行った。本研究で新たに開発した表現型プロファイリング法を用いることにより、表現型の類似性に基づいた遺伝子クラスタリングが可能となった。この手法は機能未知遺伝子の機能予測に有効であることが確認できた。以上の成果はC.elegans RNAiフェノームデータベースとして公開した。また、胚性致死遺伝子の孵化後発生における機能を時期特異的RNAi法(L1-soaking法)によって解析した。(2)ゲノム/EST情報から推定される転写制御因子遺伝子の新規欠失変異体の網羅的分離を行い、437遺伝子の変異体を分離した(全転写因子の3分の2以上)。一方で、転写因子以外の分離済みの変異体の表現型解を介して、個別の遺伝子機能解析を進めている。G蛋白質シグナリングに関わっているags-3について、頭部ニューロンで発現していること、多種類の感覚受容が異常であること、体の大きさが小さいこと、運動性が低下していることなどなどの表現型を見いだした。変異体の表現型は、egl-4変異体(PKGをコード)により、抑圧を受け、G蛋白質経路の新しいシグナル伝達機構と考えられる。AGS-3哺乳類ホモログは麻薬中毒の発症メカニズムに重要であることが知られているが、AGS-3とEGL-4の分子間相互作用は、線虫およびマウスで保存されていることを見いだした。
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