研究課題/領域番号 |
15011262
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
安藤 秀樹 独立行政法人理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, 研究員 (10251844)
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研究分担者 |
岡本 仁 独立行政法人理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, チームリーダー (40183769)
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キーワード | ゼブラフィッシュ / ケージドmRNA / Bhc-diazo / lh2a / 遺伝子発現 / 遺伝子間相互作用 |
研究概要 |
1.Bhc-diazoによるケージドmRNAの合成法の確立と応用:新規に開発されたケージド試剤Bhc-diazoをmRNAのリン酸基に結合させることにより、両者の複合体(ケージドmRNA)の効率的合成系の確立に成功した。ケージドmRNAは構造上翻訳が不能であるが、低線量の紫外線照射によるBhc基の解離により通常のmRNAに戻り、翻訳活性を回復する。本原理を応用し、試験管内で合成した任意の遺伝子に対応するmRNAをケージし、ゼブラフィッシュ受精卵に導入後任意の発生段階に任意の部位に紫外線スポット光を瞬間照射することで標的部位に特異的翻訳誘導をなし、「時空間特異的遺伝子発現誘導系」の開発に成功した。 2.上記の実験系を用いて転写制御因子Engrailed(En)の前脳特異的過剰発現を行った結果、中脳領域の著明な拡張と終脳および間脳領域の縮小が観察され、Enの前脳テリトリー確立への具体的関与が示唆された。 3.次に本法とアンチセンスモルフォリノオリゴヌクレオチド(AMO)の併用により、前脳形成に関与する複数の遺伝子群の機能的相互作用解明のアプローチを行った。すなわち密接な機能的関連が示唆される2種の遺伝子の一方をAMO法で機能阻害した個体に同時に導入した他方の遺伝子に対応するケージドmRNAを適切な時期および部位に翻訳誘導し、機能阻害効果を救出するか否かを判定した。もし救出効果が再現されれば翻訳誘導された遺伝子産物は機能阻害された遺伝子の機能的下流に位置する可能性が高く、対象実験として機能阻害される遺伝子と翻訳誘導される遺伝子を入れ替えた実験で救出効果が認められなければ上記の可能性の裏付けとなる。本実験系により、前脳形成において2種の転写因子(six3とlh2a)の間でSix3がLh2aの機能的上流で働くことを示すことができた。
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