研究概要 |
RYK,EPHB2,EPHB3の変異解析をおこなった。患者検体はヴェトナム政府の指導のもとにインフォームドコンセントを得てヴェトナムで収集された患者221名とその家族282名と日本人の検体として3省指針に従ったインフォームドコンセントのもとに収集した約150組の両親と患者のトリオを使用した。RYK遺伝子に関してはヴェトナムおよび日本人約450名の変異解析を終了した。変異解析においてY450C変異を見いだした。この変異は機能解析として発現ベクターに変異遺伝子を組み込みNIH3T3細胞においてアガー上でのcolony formation assayを行った。Y450Cは野生型のRYK遺伝子に比べて約20%の活性を示すのみであった。さらに変異は、このY450Cは正常コントロールを含むヴェトナム人670人、日本人594人、白人100人の合計1,364人の中には見いだせずSNPの可能性は低くY450Cが口唇裂・口蓋裂の原因である可能性が高い(論文投稿中)。RYK遺伝子については、遺伝子内の3個SNPを用いてヴェトナム人・日本人ともに伝達不平衡テスト・患者対照研究を行ったが、全ての多型部位において有意な差はなかった。EPHB2,EPHB3に関しては、変異を見出すことはできなかった。 さらに候補遺伝子としてDlx3とTGF-β3遺伝子について、日本人において、変異解析、相関解析と伝達不平衡テスト(TDT)を行ったが、全ての解析方法・遺伝子において陰性結果であった。 Van der Woude症候群の家系例の連鎖解析は、全ゲノムスキャンを終了し、1カ所だけ患者にハプロタイプを共有する領域を見出した。責任座位はこの場所である。しかし、浸透率が低いようで正常表現型のヒトにこのハプロタイプを持つ者が5人確認され、LOD得点は1を下る(有意ではない)。浸透率の説明を第二の遺伝子で説明可能かもしれず、現在さらに解析を進めている。
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