研究概要 |
パーキンソン病(PD)は、アルツハイマー病についで多い神経変性疾患であり、人口構成の高齢化に伴い増加している。その成因は明らかではなく、遺伝的要因と環境要因が関与するといわれている。このパーキンソン病の遺伝的要因に存在に関しては、最近のPETをもちいた双生児研究やアイスランドにおける網羅的家系研究によって明確に示されたが、たとえばアルツハイマー病におけるApoE4のような明確な感受性遺伝子は明らかではない。本研究の目的は、高密度マイクロサテライトマーカーを用いた全ゲノムスキャンを行い、相関解析によって、パーキンソン病発症感受性領域を同定し、さらに単一塩基多型(SNP)を用いて、感受性遺伝子そのものを同定することである。PDの感受性遺伝子の同定を行うため、一次スクリーニングにPDと正常対照のDNAをそれぞれ160検体用いてプールを作成した。全ゲノム上に約100kb毎で設定された23381個のマイクロサテライトマーカーを用いてPCRを行なった。ABI3100を用いて、マイクロサテライトマーカーの解析を行い、各アレル頻度を解析した。統計解析は頻度差をFisher exact testにて有意水準5%で検定を行った。一次スクリーニングを終了し全体の65.2%にあたる15243個のマーカーで統計値が得られた.そのうち有意差を認めたものは2913個であった.既報告領域と一致しているところもあり,それをふまえて二次スクリーニングを行っていく予定である.有意なマーカーについては二次,三次の検体を用いて確認を行い,SNPによって解析することで候補領域を狭めていき感受性遺伝子を同定する。
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