研究概要 |
空間符号モアレマッチング技術を基本としたゲノム解析手法の開発を通して,その有効性,特牲,問題点を明らかにするとともに,ゲノム情報処理分野における情報フォトニクス技術応用の可能性を探ることを目的とする.本年度に得られた知見は以下の通りである. 1.昨年度考案したカラー空間符号モアレマッチング技術を実装したプログラム(MTerm)により,各種細菌類を対象とした全ゲノム比較を行い,有効性,特性,問題点を評価した.ほとんどの比較において一様なモアレ縞が観測され,モアレ縞が観測されないほうがむしろ稀であることを確認した.また,出現頻度符号化を用いた場合,区切り枠の取り方により一致線が分裂する現象を見いだし,その対策として,MTermに区切り枠の調整機構を付加した. 2.ゲノム配列内に存在する逆位の検出性に対する検討を行った.配列塩基種の相補塩基への変換,塩基の配置方向の反転などの機能をMTerm付加した.大腸菌O157EDL933株と同sakai株に適用し,配列多重度10000においても逆位部位の検出が行えることを確認した. 3.配列一致部位の自動検出をめざして,出力モアレ縞画像に対する特徴抽出処理の検討を行った.移動平均法の多重適用,閾値処理による二値化,膨張・収縮処理によるノイズ成分除去の一連の処理により,良好な特徴抽出結果が得られることを確認した.さらに,処理画像に対する情報圧縮により,1/500程度の圧縮率が得られることを確認した.
|