研究概要 |
Aβ42の蓄積が生じる膜の部分とraftとの関係を明らかにすることを目的に、raft markerであるflotillin-1とAβ42のC末端を認識する抗体を用いて免疫電顕法を行った。16-20ヶ月齢のTg2576mouse脳を固定し,flotillih-1はpre-embedding, Aβ42はpost-embedding法(異常沈着のみ検出)を用い大脳皮質におけるこれらの局在を検討した。すると、老人斑の外ではAβ42の陽性反応はほぼ認められなかったが、diffuse plaque内部ではAβ蓄積はmembrane-bound formが主であり、primitive plaqueではfibrillar formの出現頻度が増し、mature plaqueではfibrillar formが主であった。flotillin-1陽性反応はamyloid fibril上には認められず、脳切片における単位面積あたりの陽性反応の数は、Aβ蓄積の進行に伴う増加を示さなかった。また、flotillin-1と異常沈着Aβ42の共局在は,老人斑内部では小突起のflotillin-1陽性反応の10%前後に認められたが、老人斑の外の領域ではほぼ認められなかった。この共局在とmembrane bound formとの関係をみると,gold particleが膜上に直線状に出現する部分では共局在は少なく,2-6個程度のgold particleがpatchyなflotillin-1の反応に一致して膜上に出現する場合が多かった。以上のことから、老人斑内部の異常に蓄積したAβ42の一部が細胞膜のraftに蓄積していると考えられる。この結果はBrain Resに再投稿中である。 この他、β蛋白産生に関与する各種タンパク・酵素の局在を免疫電顕で検討している。 共同研究者の森はApoEノックインマウスを用いて脳虚血の影響力を調べ、ApoE3型に比べApoE4型で脳梗塞巣の体積が優位に大きく、ApoE遺伝子型が虚血に対する脳の保護力に影響を与えることを示した。
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