1.エンドフィリン複合体の生化学的・細胞生物学解析 先に酵母ツーハイブリッドスクリーニングによって得たcDNA断片をプローブとして、エンドフィリン1-EBP-rho GAP複合体を形成すると思われる新規rho GAPcDNAの全長をラット脳cDNAライブラリーから単離した。ノーザン解析の結果、多くの組織でこのrho GAPの発現が観察された。得られた推定アミノ酸配列を基にしてフュージョンタンパク質および合成ペプチドを作製し、ウサギに免疫してこのrhoGAPタンパク質に対する特異的抗体の作製を行なった。大腸菌発現タンパク質を用いた生化学実験を行った結果、rho GAPドメインはRac1およびCdc42に対してそのGTPase活性を促進する作用があることが示された。また、このrhoGAPタンパク質の全長および各ドメインを培養細胞に発現し、トランスフェリン受容体のクラスリンを介するエンドサイトーシスに及ぼす影響を調べた結果、部分タンパク質の過剰発現がトランスフェリン受容体のクラスリンを介するエンドサイトーシスに対する阻害効果を示すことが観察された。 2.エンドフィリン1、2遺伝子欠損マウスの作製 マウスゲノムDNAライブラリーをスクリーニングして、エンドライリン1、2遺伝子の翻訳開始コドン部分を持つ第1エキソンを含むゲノムDNA断片を得た。これを基にして、マウスES細胞で相同的組み換えによりエンドフィリン遺伝子の同エキソンをネオマイシン耐性遺伝子で置換するためのターゲッテイングベクターを作製した。エンドフィリン1、2遺伝子欠損マウスの作製のため、ターゲッテイングベクターのES細胞への導入と組み換え体のネオマイシン耐性コロニーの選別を行なった。
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