• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

発達過程における神経細胞K^+チャネルの密度と性質の調節機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15016065
研究機関大阪大学

研究代表者

宋 文杰  大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90216573)

キーワードpotassium channels / transcription / current density / regulation / translation / cholinergic interneuron / striatum / kinetic model
研究概要

神経細胞の発火パタンはその細胞の持っているイオンチャネルによって決定される。チャネルの機能を決定する因子はチャネルの密度と性質であるが、神経細胞はどのようにこれらの因子を調節して正常な機能を実現しているのかは明らかになっていない。脱分極で活性化されるK+チャネルに不活性化を示すA型電流と不活性化を示さない遅延整流性電流があるが、本研究代表者らは、A型電流の密度と性質が発達過程における調節機構を調べるために、パッチクランプ法と半定量的単一細胞RT-PCR法を用いて、線条体コリン作動性ニューロンにおけるA型電流とKv4.2mRNAの量的関係を明らかにし、その関係は転写と翻訳機構のうえ、チャネル蛋白質とmRNAの分解を考慮すれば、高い相関係数で記述できることを示した。このモデルに従えば、チャネルの密度調節の研究は転写、翻訳と分解のそれぞれの過程のレートとそれを制御する因子を明らかにすることになる。そこで本研究では、チャネル蛋白質とmRNA分解の機構を調べるために、それぞれのレートを決定し、その発達段階依存性を調べた。
ラット線条体コリン作動性介在ニューロンを用いた。本研究代表者らのこれまでの研究によって、この細胞は強いA型電流を発現していることと、そのチャネルのアルファサブユニットをコードしているのはKv4.2であることが明らかになっている。A型電流のin vivoにおける分解のレートを調べるために、浸透圧プンプを用いて、蛋白合成阻害剤を線条体に持続的に注入した。しかし、薬物の作用範囲の特定が困難なため、結果は実験ごとに異なり、不安定だった。この問題を解消するために、線条体スライスを数日間生存させたのちに、電流を記録する技術の開発を行った。試行錯誤の結果、生後一ヶ月の動物の線条体を35oCで、電流の減衰なしに3日間生存させることに成功した。この技術を用いて、生後2週令の動物のスライスでは、蛋白合成阻害剤を投与すると、A型電流が1日で半減することが分かった。しかし、生後3週令のスライスでは、A電流が半減するには2日間以上掛かることがわかった。一方、生後2週令の動物のスライスに転写阻害剤を与えると、2日弱でKv4.2mRNAの量が約1/30に減少した。
本研究で確立したスライス標本は今後のK+チャネルの密度制御を研究する基盤を提供するものと考える。今後、A型電流とKv4.2mRNAの分解レートを発達の各段階で決定し、それぞれの過程で働く因子を明らかにしていく計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Inagaki Shinji: "Isolation of neural activity from respiratory and heartbeat noises for in vivo optical recordings using independent component analysis."Neurosci Lett. 352. 9-12 (2003)

  • [文献書誌] Hattori Satoko: "Rundown of a transient potassium current is attributable to changes in channel voltage dependence"Synapse. 48. 57-65 (2003)

  • [文献書誌] Hattori Satoko: "Quantitative relatuinship between Kv4.2 mRNA expression and A-type potassium current in rat striatal cholinergic interneurons during postnatal development"J Neurophysiol. 90. 175-183 (2003)

  • [文献書誌] Saitoh Kazuya: "Nigral GABAergic inhibition upon cholinergic neurons in the rat pedunculopontine tegmental nucleus."Eur J Neuroscience. 18. 879-886 (2003)

  • [文献書誌] Shin Ryong-Moon: "Dopamine D4 receptor-induced postsynaptic inhibition of GABAergic currents in mouse globus pallidus neurons."J Neuroscience. 23・37. 11662-11672 (2003)

  • [文献書誌] Otsuka Takeshi: "Conductance-based model of the voltage-dependent generation of a plateau potential in subthalamic neurons."J Neurophysiol. (in press). (2004)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi