研究概要 |
人間と機械との自然な対話の実現を目指している. 人間同士の会話においては,話者は互いにあいづちやうなずきでその発話を理解していることを明示する.あいづちは,「続けて」というシグナル,内容理解を示す表現,相手の意見や考え方に賛成の意思表示をする表現などを表すもの(メイナード)である,「そこまでわかったから,つぎどうぞ」という合図で,いわば「進め」の青信号のようなものである(水谷)などとされる.このようなことから、人間と機械が対話を行うとき,機械が人間同士の会話と同様にあいづちや割り込みなどの応答を返すことができれば,より円滑な対話を行うことが期待できる. 本研究では,リアルタイムにあいづち,話者交替タイミングを検出できる雑談に向けた対話システムの構築を行った.システムで最も重要な役割を担うタイミングの対話制御に韻律情報,言語情報を素性に用いた決定木を用いた.この決定木は韻律情報は発話句音声末のおよそ100msの変動,言語情報は,発話終端単語の品詞や発話の最後に現れた自立語の品詞情報などを素性に使用した. この決定木を人間同士の対話でのあいづちや話者交替があった箇所と比較し,再現率と適合率を用いて評価したところ,オープンテストで,あいづちの分類において再現率57.4%,適合率24.8%,話者交替の分類において再現率44.8%,適合率71.6%の結果を得た.また,この分類木を対話システムに導入し,被験者が主観的に評価した結果,システムの返答内容に関しては改良が必要であるものの,あいづちタイミング自体はよいという評価が得られた.
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