研究概要 |
カンジダは化学療法により治療中の患者や臓器移植を受けた患者並びに,エイズ患者等,免疫機能の低下した患者に対して重篤な深在性カンジダ症を起こす真菌であり,患者数は年々増加している。カンジダはヒトと同じ真核生物であるため副作用の低い抗真菌薬の開発が難しく,有効な抗真菌薬の種類が少ない。現在アゾール系抗真菌薬を中心に処方されているが,近年アゾール系抗真菌薬耐性株の報告が増加しており,新薬の開発並びに病原性の解明は緊急課題であり,遺伝子レベルでの解析が世界中で進められている。 カンジダ(Candida albicans)のシークエンスプロジェクトはスタンフォード大学やミネソタ大学等との共同研究において進められ,ゲノムシークエンスのドラフトシークエンス(草稿)(15Mbp)を完成させた。ゲノム上には6.421の遺伝子の存在が推測された。この研究成果は米国科学アカデミー学会誌(PNAS)に投稿し,受理された。C.albicansは二倍体生物で有性生殖は行わないとされており,これが原因で相同染色体間でヘテロな塩基配列が多く見られシークエンスの編集作業に混乱を来している。ドラフトシークエンスは421本のコンティグで構成されており申請者らは染色体7番のシークエンス上に見つかった6箇所のギャップのシークエンスをPCR法によって増幅,配列の決定を行い,さらに修正を加え1Mbpのシークエンスを完成させた。染色体7番の正確なアノテーションも行なった。
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