研究課題/領域番号 |
15019046
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
生田 宏一 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90193177)
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研究分担者 |
李 海天 京都大学, ウイルス研究所, 日本学術振興会特別研究員
上田 正道 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (50115797)
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キーワード | サイトカインレセプター / インターロイキン7 / T細胞 / T細胞抗原受容体 / 転写 |
研究概要 |
本研究の目的は、末梢T細胞がTCRからの刺激を受けた後にIL-7Rの発現が低下する分子機構を解明することにある。 まず、脾臓T細胞を固相化抗CD3抗体で刺激すると、IL-7Rの発現は16時間後にほとんど消失したが、この時のIL-7Rα鎖mRNAのレベルも著減していた。以上の結果から、IL-7Rの発現が転写レベルで制御されることが明らかとなった。 次に、マウスIL-7Rα鎖遺伝子のプロモーター領域を解析した。全長cDNAの塩基配列から、IL-7Rα鎖遺伝子の転写が翻訳開始点の上流51bpと126bpの2カ所から開始することを確認した。マウスとヒトのIL-7Rα鎖遺伝子座の配列を比較すると、転写開始点の上流200bpの領域が高度に保存されていた。この領域には、Ikaros、PU.1、Runxの結合モチーフが保存されていた。また、マウスにはグルココルチコイド受容体(GR)の結合モチーフも存在した。次に、これらの領域をIL-7Rを発現しているプロB細胞株38B9に導入しレポーター法により解析すると、特異的な転写活性化能が検出された。さらに、この時、PU.1モチーフを破壊すると活性が10%減少し、GRモチーフを破壊すると44%減少した。逆に、IkarosとRunxのモチーフを破壊すると活性が上昇した。PU.1とGRモチーフをともに変異させると転写活性化能が完全に失われた。さらに、結合モチーフにこれらの転写因子が結合するかどうかをゲルシフト法により解析すると、38B9細胞の核抽出物の中にGRモチーフに結合する活性が検出され、この活性は抗GR抗体により消失した。一方、プロT細胞株KKFやT細胞株W14C17では、グルココルチコイド処理によりIL-7Rの発現が増強した。 以上の結果から、IL-7Rα鎖遺伝子の転写を、PU.1とGRが正に、IkarosとRunxが負に調節することが示唆された。
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