研究概要 |
FEEL-1は4個から5個のEGF様ドメインと2個のfasciclin(FAS1)ドメインからなる4回の繰り返し構造から構成されている。FEEL-1が細菌を認識するのに必須なドメインを推定するため細胞外ドメインの欠失変異体をCHO細胞に発現させ、スカベンジャー受容体活性と細菌の結合活性を測定することにより検討したところ、細菌の結合にはN末端から3回目の繰り返し構造が重要であることが明らかになった。ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)の培養上清に検出される可溶型のFEEL-1の機能の検討を行ったところ、アセチルLDLだけでなくグラム陰性、陽性細菌も結合することが明らかになった。またヒト単球、単球由来のマクロファージ、樹状細胞にも蛋白質レベルでFEEL-1が検出できることを明らかにした。これらの結果はFEEL-1が細胞表面で細菌を結合するだけでなく、マウス肝臓より調製した初代類洞血管内皮細胞(liver sinusoidal endothelial cell,LEC)やKupffer細胞(KC)におけるマウスFEEL-1のスカベンジャー受容体活性、特に細菌の結合活性への寄与を検討する目的でアデノウィルスを用いたshRNAの発現によるFEEL-1蛋白質のノックダウンによる機能の解析を検討した。LECとKCにはFEEL-1,FEEL-2共に発現が認められた。LECとKCのスカベンジャー受容体としてのリガンド特異性はFEEL-1の特異性に似ていることからFEEL-1の寄与が示唆されたが、shRNAによるFEEL-1蛋白質のノツクダウンによりスカベンジャー受容体活性、細菌の結合活性ともに抑制された。この結果はin vivoで主に細菌の結合、排泄を担っているLECとKCにおけるFEEL-1の寄与を示唆している。
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