cis-およびtrans-activation効果を期待して、IFN誘導性に発現する各種遺伝子のプロモータや結合モチーフなどを、ナイーブなCMVプロモータに導入した。こうして出来た多種多様な改変型CMVプロモータの転写制御下にレポーター遺伝子を発現するレポーターベクターを構築し、これを各種培養細胞にトランスフェクトして遺伝子発現レベルを評価した。さらに培地にI型およびII型IFNを添加して改変型CMVプロモータによる遺伝子発現量の変化を追跡した。その結果、IFNの存在下でも遺伝子発現が減弱しない、さらにはIFNに反応して転写活性が増強するプロモータがいくつか得られた。 以上のin vitroで観察された結果がin vivoでも再現されるかどうかを評価するために、マウスを対象にレポータープラスミドを使って生体内遺伝子導入に着手した。対象臓器は肝臓(大容量高圧静注法)と筋肉(電気穿孔法)であるが、いずれにおいても良好な成績が得られつつある。生体内で高い転写活性を維持できるプロモータの選定が終わり次第、レポーター遺伝子を適当な抗原遺伝子で置換してワクチンプラスミドとし、これを接種して免疫原性の評価を開始する予定である。強力な抗原発現が強力な免疫応答に直結するかどうかは未知な部分であるが、予備実験においては既に有望な成績を得ている。改変型CMVプロモータを用いることにより、強い抗原発現と高レベルの免疫応答誘導が可能となり、新世代のワクチンベクターとして多くの感染症の制御に貢献することが期待される。
|