研究概要 |
目的: 小学校高学年から中学生にかけて、科学的興味・関心や、不思議に思ったことを追究する力がどのように発達するのかを、2年間追跡することによって明らかにする。理科の授業での経験を含め、これらの興味・関心,追究意欲の発達に影響を及ぼす要因を縦断研究によって見出す。理科の好き嫌いの理由を捉え、「理科嫌い」を起こしている原因をより明確に把握する。興味・関心の広がり、追究することの面白さの実感は、学習観とを高めることで、学校への適応感や心理的健康も高めるだろうという仮説を検討する。子どものインターネットや携帯電話の使用量や使用用途を把握し、これらと興味・関心,追究意欲との関連を検討する。 方法: 2003年7月,2004年2月(実施中)に小学5年生〜中学3年生(7月回答者5602名,20校)を対象に質問紙調査を実施。内容;教科・諸活動活動の好き嫌い,理科の好き嫌いの理由,日常的興味・関心,科学的興味・関心,追究意欲,学習観,インターネット使用頻度,学校生活満足感,抑うつ症状。 結果: 理科が好きな子どもの割合は,学年とともに低下するが,この傾向は他の教科や学校活動にもみられた。また,いずれの学年においても理科を好きな教科としてあげる子どもの割合他の教科と比べて多かった。理科に対するポジティブな意識(追究・発見の実感,有用性・身近さの実感,実験の楽しさの実感)は,児童・生徒の日常生活での興味関心,科学的なものへの興味関心,追究意欲を高め,その結果,学習観や学校生活への満足感が高まり,抑うつ傾向が低くなった。さらに,インターネットの使用頻度が高い子どもは,抑うつ傾向が高まる一方で,日常生活での興味・関心も高まった。
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