研究概要 |
「e-教室」は、国立情報学研究所が遠隔教育システムとサーバ環境を提供し、大学等の研究者と教師を中心としたボランティアグループによって構成される「e-教室」運営委員会によって、平成14年6月に開校・運営されているインターネット上の学習コミュニティである。「e-教室」では、電子掲示板を利用したやりとりを通して、子どもたちが継続的に"科学を創る"経験することができる。本年度は,その学習を促進する方策の提案・実現とこれに関連する基礎研究を行った。 (1)システムの改良 基本システムの改良を行った。具体的には,(1)投稿記事のアーカイブ化、(2)投稿記事検索機能の付加、(3)学習状況出力機能の付加、(4)アンケート機能の付加等である。これらは学習や学習支援において有効であると同時に,(1)〜(3)は他の学習促進方策の研究用データの作成に,(4)は学習者の意向の把握や参加の奨励にも効果的である。 (2)スクーリングの実施 ネットワーク外では初めて対面して交流を深めた。アンケートによればスクーリングは好評で,これ以降より積極的に「e-教室」に参加する学習者も見られた。 (3)学習成果の明確化 開校初期と開校1年後のそれぞれ3ヶ月間の投稿記事の比較を行った。その結果、学習者はより長くかつ簡潔な文章を書くようになった。また、投稿記事の中で(1)質問をする、(2)主張の根拠を提示する、(3)解説を付加する、(4)図・画像を付加することが多くなった。これらは論理力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力等が育成された結果であると判断する。 (4)発見的手法による投稿の分析 モデレーション方法の提案、学習成果の明確化のための基礎研究として、発見的手法を用いて掲示板に投稿された記事を分析した。特に、フォロー(返信)が着いた投稿の特性、e-教室の中核となる参加者の投稿の特性、学習者と学習支援者の投稿の特性の違い等を明確にした。
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