研究課題
本年度は、博物館における科学教育支援システムの開発・実験・分析を行った。システムは、PDA(Personal Digital Assistant)とCoBIT(Compact Battery-less Information Terminal)、RFIDタグとアンテナ、無線LANから構成されている。CoBITは、端末の位置や方向を考慮し、音声を提供する無電源情報端末で、光源が照射されているエリアに入ると音が聞こえる。本システムでは、CoBITを用いることによって、展示物ごとに違う音を設置し、雰囲気を盛り上げる効果をねらった。またPDAには、RFIDアンテナを装着し、展示の近くに設置してあるタグにアンテナを押しつけると、PDAの画面にコンテンツが表示される。コンテンツは動画アニメーションを用いて、静的な博物館の展示に動的な説明を加え、ユーザに興味をもってもらえるようにした。日本科学博物館本館二階北翼「生物の進化」フロアにて3月20日〜24日まで4日間行った。まず4フロア入り口で子供にPDAを渡し、使い方の説明を行う。子供同士できた場合にはひとり1台ずつ手渡し一緒にフロアを回ってもらう。次にCoBITを耳に装着する。準備ができた段階で最初の展示に向かう。最初の展示で、RFIDの押し当て方、CoBITの聞き方について練習する。自由に館内のフロア9カ所をまわり音と動画コンテンツを楽しむ。コンテンツについては、科学博物館の研究部の方に監修していただいた。162名の参加があり開始前・終了後にアンケートを記述してもらった。アンケートの結果、開始前には、展示についての知識のないこどもでも、展示中にはコンテンツと展示が楽しめたと答えたこどもがほとんどで、本システムの効果が検証できていた。システムについては、RFIDタグの位置がわかりにくい、ペン入力が操作しにくいという意見があった。アンケートの結果から本システムは、静的な展示支援に有効であるといえる。また実験ビデオを用いて相互のコミュニケーションについて分析を行った。まっていても展示に関する興味が深まったとはいえなかった。本システムを用いた場合の展示と開発するコンテンツの関連についてさらに研究を進めていく必要がある。また動的なコンテンツをどの程度とりいれ、静的な展示を支援していくかについてもさらに分析が必要である。今後は親子や子供同士のコミュニケーションをとりいれたシステムの開発も行い、相互作用の分析も行う予定である。
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