本年度は以下に記載する調査・研究を行った。 1.画像データの作成 学習情報の抽出には波長分解能、空間分解能、輝度分解能を落とさない画像データが必要なので、画像情報を復元可能な画像圧縮が不可欠となる。本研究では画像圧縮にERM (Earth Resource Mapping)社が開発したECW (Enhanced Compression Wavelet)式を採用することにした。また、学習システムが提供する教材用画像データはNOAAから直接受信したAVHRRデータに以下の画像処理を順次適用して作成した。1)幾何学補正(メルカトール図法によるマッピング)、2)地理情報(経度線、緯度線、海岸線)の重ね合わせ、3)8bit/256階調のBMP画像への変換と切り出し、4)濃度変換やカラー画像合成などの画像処理、5)ECW画像への変換(圧縮率は20:1) 2.Javaアプレットの開発 本研究ではECW形式の画像データをネットワーク上で高速に伝送するためのECWP (Enhanced Compression Wavelet Protocol)を実装したERM社のIWS (Image Web Server)を学習システムのコアコンポーネントに採用することにした。IWSはIIS (Internet Information Server)のアド・オンソフトとして動作し、ECW画像の表示や操作を行うために必要なAPIを提供する。これらのAPIを利用してインターラクティブにECW画像にアクセスできるJavaアプレットをBoland JBuilderとERM社が提供するECW Java Software Development Kitを使用して開発した。 3.Webサーバの構築 作成した教材用画像データとJavaアプレットの性能評価を行うため、学習システムのプロットタイプとなるWebサーバを構築した。WebサーバはWindows Server 2003、IIS6.0、IWS ER Mapper Editionで構成され、50クライアントの同時アクセスが可能である。構築したWebサーバのサブセットはWindows 2000/XpのIISとフリーソフト版のIWSで構成できるので、スタンドアロンか校内LANに導入すればインターネット接続環境は必ずしも必要ない。同時接続可能なクライアントは限定されるが、少人数による使用であれば実用性に問題はないことも確認できた。
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