1.「文革期文学雑誌目録(1)」の刊行。 中華人民共和国の非公然刊行物の中に文革期に刊行された出版物がある。文革期には公然刊行物として出版された雑誌が現在非公然化されている。だが文革期の文学活動を研究するためにはこうした文学雑誌の調査が不可欠である。今年度は種々のルートで地方出版の文芸雑誌を、目次に限ってだが収集した。そのうち「天津文芸」(天津)、「遼寧文芸」(遼寧省藩陽)「湘江文芸」(湖南省長沙)の3種について、創刊時から76年末までの目次を集めた「文革期文学雑誌目録(1)」を刊行した。この資料集によって、文革後の新時期文学で活躍する作家たちのうち、実は文革期に「活躍」といっていい文学活動を展開していた人がいたことが分かり、また、その結果、文革期の文学がそれ依然のいわゆる十七年の文学、及びその後の新時期文学とが繋がる部分のあることが明かになった。 2.中国人研究者によるレビュー 中国で非公然刊行物資料を利用して研究活動を展開している楊健・中央戯劇学院教授、程光緯・中国人民大学教授、王家平・首都師範大学教授らに本研究について意見を聞き、資料について意見交換をおこなった。また北京大学図書館、人民大学図書館、北京図書館、香港中文大学大学服務中心、同中文系図書館などで非公然刊行物についての調査・資料収集を行なった。 3.研究課題についての発表 第5回研究集会(平成15年6月28日)で研究発表をおこなったほか、第3回九州大学図書館職員漢籍講習会(平成15年9月26日)で講演した。
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