本研究の2003-2004年度の研究計画は北京と上海で『二十五史』編集資料を収集するのは主な目的であった。2003年12月20日〜2004年1月6日、2003年2月20日〜同年3月2日、2004年8月13日〜9月11日、2005年2月9日〜2月27日、計4回に分けて中国北京、上海で『二十五史』校点関係者のヒアリング調査と関係資料の収集を実施した。以下の成果を得た。 1、1971年の『二十五史』校点事業再開をめぐる北京グルプと上海グルプの分業実態を調査した。 2、中華書局元編集、校点担当者の一人張忱石氏との面会を実現した。多くの証言を得た上で、今まで知られていなかったいくつかの問題点も解決された。 3、反体制思想家鮑遵信氏との面会も実現し、証言を得た。鮑氏は『二十五史』校点整理事業の重要な当事者であった。1971年4月29日に行われた国務院弁公室主催の出版座談会にも参加し、後に「出版口」の名義で中共中央弁公室(5月3日)に提出した「『二十四史』と『清史稿』の整理出版についての答申報告書」の事実上の作成者でもあった。この「答申書」は毛沢東の許可を得て、中共中央の正式文件として公表された。 4、『清史稿』整理者の一人である王鐘翰先生を訪問し、『清史稿』整理当時の事実関係を調査し、当事者としての重要な証言を得た。
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