三条集成の重要な部分を占める中国民間故事集成の資料本の収集とその編纂過程を明らかにすることが、本年度の課題であった。 11月9日から16日まで、中華人民共和国広西壮族自治区において、中国民間故事集成広西巻の資料本所蔵調査と、同巻の編纂委員の二人に、編纂の経過を聞き取り調査した。調査で確認できた点は以下の二点である。 中国民間故事集成広西巻は90冊制作され、全巻が広西壮族自治区図書館に所蔵されている。中国民間故事集成広西巻編纂委員会では、同自治区内の複数の大学に、全巻を寄贈したが、散逸しているようである。その他編纂委員が、全巻を所蔵している可能性がある。 中国民間故事集成広西巻の編纂は、中国民間故事集成広西巻編纂委員会が行った。委員は広西民間文学研究会の専業の民間文学研究者と自治区内の大学の民間文学研究室の教員である。編纂の方針は北京師範大学の鐘敬文教授がたて、それに従い作業を行った。自治区内の各県に収集のための組織が作られ、編纂委員はその指導と各県から提出された資料本から、本編へ採録する昔話の選択を担当した。
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