研究課題/領域番号 |
15025208
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大泉 康 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00006355)
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研究分担者 |
李 玉山 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教務職員 (50344685)
斉藤 真也 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (80271849)
山国 徹 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (30333793)
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キーワード | 抗がん剤 / アポトーシス / 薬用植物成分 / 放線菌由来化合物 / 真菌由来化合物 / Akt / Ca^<2+>-ATPase / 細胞骨格 |
研究概要 |
本研究では、抗がん剤のリード化合物の発見およびそのアポトーシスの誘導機構や血管新生阻害機構解明を目的として、天然由来のアポトーシス誘導物質や血管新生阻害物質の探索およびその作用機序の解明を行なった。その結果、放線菌由来のリポペプチドである955-2は、L1210細胞においては細胞周期のG_1期停止作用を示し,長時間作用させることによりアポトーシスを誘導することが明らかとなった。また、マンゴスチンの果皮由来のα-mangostinによるPC12細胞のアポトーシスはCa^<2+>-ATPase阻害に基づいたcalpainの活性化を経由していることが示唆された。さらに、真菌由来化合物のIC101のアポトーシス誘導作用について詳細に検討した結果、IC101はHSP90のATP作用部位への作用により、HSP90のリン酸化作用を抑制してHSP90-Aktの結合抑制を引き起こし、HSP90のAktリン酸化保護の阻害がアポトーシスを誘導することが判明した。一方、アカネ科植物由来のRA-VIIはF-アクチンに結合することによりその構造変化を引き起こし、アクチンフィラメントを安定化させることで細胞分裂を阻害し、細胞周期をG_2期で停止させた。さらにcalpainの活性化を目指し、特異的Ca^<2+>-ATpase阻害物質の合成さらには天然界からも新規阻害物質の単離に成功した。したがって、これらの天然薬物は新たな分子標的治療薬の有望なリード化合物およびアポトーシスや細胞増殖抑制の分子機構解明のための有用な薬理学的ツールとなることが期待される。
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