研究課題/領域番号 |
15025229
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中島 泉 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40022826)
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研究分担者 |
武田 湖州恵 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80345884)
鈴木 治彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90283431)
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キーワード | メラノーマ / RETがん遺伝子 / トランスジェニックマウス / 細胞傷害性Tリンパ球 / 漢方 / 十全大補湯 / グリチルリチン / クルクミン |
研究概要 |
1.薬物のがん特異的CTL免疫誘導促進活性のスクリーニング系の樹立:(1)出生して各時期のメラノーマ自然発症系(304系または192系)RETトランスジェニックマウスに、代表的な漢方補剤として知られる十全大補湯を各種条件で経口投与するか、有効成分の一つであると先に同定している精製化学物質グリチルリチンを各種条件で腹腔注射した。これらのマウスから腹腔細胞を採取し、これをRETトランスジェニックマウスに発生したメラノーマから分離し維持しているメラノーマ細胞株(Mel-RET)と薬物を添加して混合培養し、培養系に出現する腫瘍特異的CTL活性を51Cr放出試験で測定し比較した。その結果、先に予備的に検討した結果を裏付けるように、担癌の304系トランスジェニックマウスに十全大補湯を4週間経口摂取させた場合に最も明確に抗腫瘍CTL活性の増加が見られた。一方、グリチルリチン腹腔注射による誘導はいずれの条件のもとでもより軽微であった。このため、前者の条件がスクリーニングに適していると結論された。(2)新規簡易型の開発:腫瘍の発生に伴って免疫系のTh1/Th2バランスがTh2にシフトするという成績を確認しつつあるが、十全大補湯やグリチルリチンが示す抗腫瘍活性がCTL免疫の誘導に関わるTh1シフトを強める活性とリンクしているかどうかについては、なお結論を得ていない。このため、この結果を利用した新たなスクリーニング系の開発は残された課題である。2.各種薬物のがん特異的CTL免疫誘導促進活性の検定:強い抗酸化活性を持つとされるカレー粉の成分であるクルクミン(名古屋大学生命農学研究科大澤教授から分与)を304系RETトランスジェニックマウスに出生の1か月後から終生経口的に摂取させて、メラノーマの発生と増殖への影響を観察した。その結果、実験開始後1年半の観察で推計学的に有意の腫瘍抑制効果が観察された。今後、直接的にまたは上記のスクリーニング系を用いてこの薬物の抗腫瘍CTL免疫誘導活性を解析嚇する予定である。
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