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2003 年度 実績報告書

新しい概念「テロメアノット」形成に基づいたテロメラーゼ阻害剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15025234
研究機関京都大学

研究代表者

中谷 和彦  京都大学, 工学研究科, 助教授 (70237303)

キーワードテロメア / テロメラーゼ / テロメアノット / コールドスプレーイオン化
研究概要

癌細胞で活性化されているテロメラーゼは、遺伝子の複製により短くなるテロメア領域を伸長する酵素であり、テロメア配列(ヒトではd(TTAGGG))に相補的なRNA配列r(CCCTAA)をもつリボヌコレオプロテインである。テロメアが短くなるとアポトーシスにより細胞か死滅するため、テロメラーゼ阻害による癌細胞選択的な治療効果が期待されている。従来のテロメラーゼ伸長阻害を目指して開発されてきた分子は、そのすべてがテロメアの一本鎖領域が形成すると考えられている「グアニン四重鎖」を安定化しようとする発想に基づいているが、ヒトテロメア一本鎖領域がグアニン四重鎖を核内で形成していることを示す確たる証拠はいまだ得られていない。G-Gミスマッチ認識分子「ナフチリジンダイマー」とヒトテロメア配列5'-TTAGG-3'との結合を、コールドスプレーイオン化質量分析法を用いて詳細に解析した。その結果、TTAGGG一単位にナフチリジンダイマー1分子が結合していることを明らかにし、TTAGGGの繰り返し配列がヘアピン構造を形成し、そこに生じたG-Gミスマッチにナフチリジンダイマーが結合した「テロメアノット」構造を形成することが支持された。この結果に基づいて、新たなテロメア結合物質「ナフチリジンテトラマー」を分子設計し、ナフチリジンダイマーをリンカーで結合することにより合成した。コールドスプレーイオン化質量分析法を用いたナフチリジンテトラマーとヒトテロメア配列の結合解析から、TTAGGG2単位につきナフチリジンテトラマー1分子が結合していることが示された。また、ヘアピン構造のナフチリジンテトラマーによる安定化をUV-融解曲線から求めたところ、連続するG-Gミスマッチにナフチリジンテトラマーが結合していることが確認された。ナフチリジンテトラマーを用いてヒトテロメア配列の伸長阻害をTRAPアッセイにより評価したところ、ナフチリジンダイマーに比べてより低濃度でテロメラーゼによるテロメア配列の伸長を阻害することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 中谷和彦ほか: "Induction of a Remarkable Conformational Change in a Human Telomeric Sequence by the Binding of Naphthyridine Dimer : Inhibition of the Elongation of a Telomeric Repeat by Telomerase"J.Am.Chem.Soc.. 125. 662-666 (2003)

  • [文献書誌] 中谷和彦ほか: "Affinity Labeling of a Single Guanine Bulge"J.Am.Chem.Soc.. 125. 8972-8973 (2003)

  • [文献書誌] 中谷和彦ほか: "Formation and Destruction of the Guanine Quartet in solution Observed by Cold-Spray Ionization Mass Spectrometry"Chem.Commun. None. 788-789 (2003)

  • [文献書誌] 中谷和彦ほか: "The SPR Sensor Detecting The Cytosine-Cytosine Mismatches"J.Am.Chem.Soc.. 126. 557-562 (2004)

  • [文献書誌] 中谷和彦ほか: "Detection of Guanine-Adenine Mismatches by Surface Plasmon Resonance Sensor carrying Naphthyridine-Azaquinolone Hybrid on the Surface"Nucleic Acids Res.. 32. 278-286 (2004)

  • [文献書誌] 中谷和彦ほか: "Highly Sensitive Detection of GG Mismatched DNA by Surfaces Immobilized Naphthyridine Dimer through Poly(ethylene oxide) Linkers"Bioorg.Med.Chem.Lett.. 14. 1105-1108 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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